開閉運動
- 【読み】
- かいへいうんどう
- 【英語】
- Opening movement
- 【辞典・辞典種類】
- 新編咬合学事典
- 【詳細】
- 下顎が回転しながら引き下げられたり、引きあげられたりする運動。下顎の基本運動のひとつ。GPT-6で、上下顎を離開させる運動と定義されているが、不適切用語となっている。境界開閉運動と境界内開閉運動(習慣性開閉運動)とがあり、前者は後方境界(開閉)運動と前方境界(開閉)運動とに分けられる。矢状面に投影された後方境界運動は、2つの異なった円弧から合成されている。その1つは最後退位からはじまり、ターミナル・ヒンジアキシスを軸とする下顎の純粋な蝶番回転運動によって生じるもので、後方境界運動の初期に、下顎はターミナル・ヒンジアキシスの回りに10~13度の範囲で開閉し、このことはターミナル・ヒンジアキシスの理論的根拠とされてきた。下顎が中心位(前上方位)にあるときの軸をトランスバース・ホリゾンタルアキシスと呼びターミナル・ヒンジアキシスの前方0.3mmおよび上方0.1mmの位置にある(保母、岩田 1984)。トランスバース・ホリゾンタルアキシスを軸とした純粋な蝶番回転運動の範囲は明らかではないが5度前後、開口量にして約8mm程度とみこまれる。河野(1996)は顆頭安定位の採得に際し約10mmのストロークのタッピングを推奨している。
もう1つの円弧は、後方境界運動の後半に生じるもので、顆頭の純粋な回転運動が終了したところからはじまり最大開口位で終わる。この運動中に、顆頭は滑走をともなった回転を行ない、その回転中心は下顎孔のやや後下方にあるといわれているが、これは運動学的な回転中心ではない。
前方境界運動は、下顎が最前方位にあるときに行なわれる開閉運動で、その上端は上方境界運動路の最前点と一致し、その最下端は最大開口位に終わり、後方境界運動路に連結する。前方境界運動路は後方境界運動路と異なり、ひとつのなだらかな円弧を示す。
習慣性開閉運動は、日常無意識に行なわれている反射的な開閉運動で、どのような咬合位からでもはじめられ、またどのような咬合位でも終わることができる。日常絶え間なく行なわれ、その運動路上に早期接触などがあると、運動経路が反射的に修正される。習慣性開閉運動は境界開閉運動のような下顎の取りうる最後退位、または最前方位で営まれる運動ではないから、その運動は自由で、正確に同一の軌道を通ることはない。しかし、その経路にはおのずから各個人特有のパターンがみられ、その出発点と帰着点は通常咬頭嵌合位に一致する。