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顎口腔系のアセスメント

【読み】
がくこうくうけいのあせすめんと
【英語】
Assessment of stomatognathic system
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
頭蓋下顎障害の分野においては、診査診断に代わりアセスメントassessmentが用いられることが多い。この語は、統合評価の意味をもつ用語で、査定という一般訳もあるが、環境アセスメントなどのように単に少数の検査からただちに結果が導き出されることのない場合に多角的な検討を意味して使用される。診査examinationは具体的な検査行為で、診断は病名を決定する鑑別診断のことであるが、アセスメントは個々の患者の治療計画にも直結するものである。
頭蓋下顎障害における顎口腔系の診査には、問診、直接的診査、画像診査、心理的診査、特定の検査が含まれる。
問診は、質問事項が多く多岐にわたるため、問診票として印刷したものにあらかじめ記入してもらい、これに従って問診を進めていくことが効率的である。顎機能異常の問診において難しいのは、顎機能異常の症状が広範囲に及ぶことがあるために患者自身がそれらを症状としてとらえていないことも多く、また、症状の出現が長期にわたることも多いために、患者自身すでに正確な病状の推移を把握できていないことが多いなどの理由から、よほど注意深く問診を行なわなければ、正しく患者の自覚症状を把握することはできない。さらには、顎機能異常の患者にみられる諸症状のなかには他の疾患により同じ症状が生じるものも多く、これも難しさに拍車をかけている。
直接的診査は診療室で行なわれるもので、顎関節と頚椎、咀嚼筋と肩頚部の筋、神経系と血管系、口腔内、および頭頚部の一般的視診および姿勢の評価を行なう。直接的な診査法としては、開口量と開閉口路の2つをまず最初にみる必要がある。開口量が40mmに満たなかったり、開閉口路が屈曲している場合には顎関節あるいは筋、もしくは双方に何らかの問題があることを示している。この際に両手の人さし指を顎関節外側部に位置させることにより顆頭の運動を触知することができる。また、顎関節から運動時に雑音が発生するか否かも重要な診査項目である。これには聴診器を応用することが望ましい。顎の健康度を推定するための方法に顎顔面頚部の圧痛検査と触診がある。
画像診査には、X線、MRIによる診査がある。超音波による診査はほとんど使用されない。
心理的診査としては、CMIテスト、YGテストなど既成のテストを行なうが、これは単に記入された項目から自動的に結果が導き出されるものではなく、記入に必要な時間、記入態度などから総合的に判断しなければならない。
臨床検査には、咬合器による顎態の再現、下顎運動検査、生検、深部温度測定、圧痛計、滑液分析、診断的麻酔注射、臨床検査(血液および尿などの)などである。
⇒機能不全指数、顎関節疾患の画像診査、圧痛検査、パントグラフ再現指数