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顎咬合学的水平基準面

【読み】
がくこうごうがくてきすいへいきじゅんめん
【英語】
Gnathological plane of reference
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
ナソロジーで定めた水平基準面。歯科領域では、水平基準面として解剖学で定めたフランクフルト平面、補綴学でよく用いられるカンペル平面(補綴学的平面)がよく知られているが、McCollumは下顎運動に留意した水平基準面としてターミナル・ヒンジアキシスと右または左の眼窩下縁中点(オルビターレ)を含む顎咬合学的平面を提案した。これはアキシス・オービタル平面と呼ばれ、GPT-6にも採用されている。ターミナル・ヒンジアキシスはその後トランスバース・ホリゾンタルアキシスに移行したが、Solnit(1988)はターミナル・ヒンジアキシスの代わりに平均値法で求めた後方基準点として、耳珠上縁と外眼角を結ぶ線に沿って耳珠上縁から11mm前方(外耳道上縁から13mm前方)でかつ5mm下方の点をとれば80~85%の症例で満足すべき結果が得られると述べている。アキシス・オービタル平面はフランクフルト平面に対し約2.5度上方に向いている(保母ら 1995)。
Stuartは眼窩下縁中点に変えて上顎中切歯切端から内眼角に向かい54mmの点を前方基準点として提案した。この水平基準面はほぼフランクフルト平面に平行である(保母ら 1995)。Pitchford(1991)はフランクフルト平面もアキシス・オービタル平面も審美的に問題があり、上顎模型が咬合器の下方につきすぎる、としている。Guichetは1960年代に、トランスバース・ホリゾンタルアキシスと上顎右中切歯切端から眼窩下縁中点に向かい43mmの点を含む水平基準面を提案している。この水平基準面は後日、保母ら(1995)によりアキシス平面と命名された。アキシス平面は、フランクフルト平面に対し約7.5度前傾し、Gysiにより改訂された外耳道下縁を後方基準点としたカンペル平面に対し約4.3度上方に向いている。
カンペル平面を水平基準面とし、正常被蓋の前歯をもつ歯列模型を咬合器上にマウントした場合、スピーの彎曲が歯列の中ほどで水平面(補綴学的咬合平面)から下方へはみ出すが、アキシス平面を水平基準面とした場合にはスピーの彎曲は中切歯から第2小臼歯のあたりまでほぼ水平で、その後遠心に向かうほど上方に水平面から離れてゆく。顎咬合学的水平基準面とは別に、左右の平均値法で求めた後方基準点と鼻翼下点を結んだ平面も用いられている。これは軸鼻翼平面axis ala planeと呼ばれるが、カンペル平面と顎咬合学的水平基準面との混血(ハイブリッド)的性格のものといえる。軸鼻翼平面はフランクフルト平面に対し約17.5度、カンペル平面に対し約6度、アキシス平面に対し約10度前傾している。
⇒水平基準面