顔弓
- 【読み】
- がんきゅう
- 【英語】
- Face-bow
- 【辞典・辞典種類】
- 新編咬合学事典
- 【詳細】
- ⇒フェイスボウ
顎関節に対する上顎の位置的関係を記録し、同じ関係で咬合器の開閉軸に対して上顎模型を取りつけるために用いるノギス様の装置。GPT-6では、上顎歯列と特定の解剖的基準点(複数)との空間的関係を記録し、咬合器にその関係を移すキャリパ様器具で、咬合器の開閉軸に歯列模型を同じ関係で方向づけるのに用いる。解剖的基準点には、通常顆頭のトランスバース・ホリゾンタルアキシスおよび指定の前方基準点を用いる。ヒンジボウとも呼ばれる、と定義されている。上顎歯列の位置を記録するバイトフォーク、顔弓後方基準点をさすスタイラス(顆頭指示桿)、前方基準点を指示するリファレンス・ポインタとから構成されている。
1899年、Snowにより開発されたが、初期のものはリファレンスポインタをもたなかったため、上顎歯列の水平的な位置関係を計測することしかできなかった。垂直的な位置関係の計測を可能にしたのはWadsworthで、その後Hanauによって今日のフェイスボウの原型が完成された。1921年にMcCollumによってターミナル・ヒンジアキシスの測定法が開発され、フェイスボウの精度は飛躍的に高められた。
フェイスボウには、シンプルボウとヒンジボウの2種類がある。シンプルボウは目測法(解剖的平均値)によって求めた顆頭点を、後方基準点として用いるもので、咬合器の開閉軸が生体の開閉軸と精密に一致しないため、やや精度が劣る。ヒンジボウは、実測法によって求めたターミナル・ヒンジアキシスを後方基準点として用いるもので、咬合器の開閉軸と生体の開閉軸が精密に一致するため、精度が優れている。シンプルボウの種類は多いが、代表的なものにホビーのスムースマチック・フェイスボウ、デナーのスライドマチック・フェイスボウ、ウイップミックスのクイックマウント・フェイスボウ、ハノーのスプリングボウなどがある。ヒンジボウの代表的なものにアルモアのヒンジボウ、ホビーのヒンジボウ、スチュアートのヒンジボウなどがあり、いずれも、ヒンジ・ロケータとして使用することができる。