関節腔
- 【読み】
- かんせつくう
- 【英語】
- Synovial cavity、Articular cavity
- 【辞典・辞典種類】
- 新編咬合学事典
- 【詳細】
- 下顎窩と下顎頭の間に介在する水溶性の粘稠な滑液を含む腔隙。関節腔は関節円板によって2つの部分に分けられている。関節円板の上部を上関節腔、下部を下関節腔と呼ぶ。関節腔の内部は滑液により満たされている。上関節腔では関節円板と下顎窩との連結が比較的緩やかなため、主として円板の滑走が行なわれる。偏心運動中に関節円板は上関節腔内で下顎頭とともに関節結節上まで滑走するため上関節腔にみられるこのような機能を表現して、顎関節を滑走関節sliding jointと呼ぶことがある。下関節腔では関節円板と下顎頭とが外側極部および内側極部において強固に連結されているため主として下顎頭の回転が行なわれる。下顎の蝶番回転などに際し、下顎頭は下関節腔内で回転するため下関節腔にみられるこのような機能を表現して顎関節を蝶番関節hinge jointと呼ぶことがある。しかし、関節円板と下顎頭表面との間では下顎頭の純粋な回転運動中といえども常に滑走が生じている。大きな開口運動や前方運動が行なわれると、関節円板は顆頭とともに関節結節上まで前進し、このとき、関節包の後部は関節円板後部に牽引される。下顎頭が前進して生ずる下顎窩後方の関節腔隙は、関節包後部の脂肪組織が前方へ引き出されるとともに、同部に分布する動静脈シャントを利用して静脈叢に血液が貯留することにより満たされる。しかし完全に補われるわけではなく、下顎頭と外耳との間に凹陥部が現われ皮膚面から触れることができる。