専門情報検索 お試し版

ギージー

【読み】
ぎーじー
【英語】
Alfred Gysi
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
スイスの補綴学者。チューリッヒ大学補綴学教授。近代補綴学の創始者の1人。1865年に生まれる。ジュネーブで歯科教育を受け、その後アメリカに渡り、1887年ペンシルバニア大学歯学部を卒業。その後、歯の組織、齲蝕、歯髄処置などの病理学的研究に従事し、多くの業績を遺した。1890年ごろ、チューリッヒで開業するかたわら、下顎運動や咬合に関する研究を開始。1896~1899年にかけて、Mullerとともに咬合器を試作。1900年代初頭、顆路描記装置を考案し、顆路を測定している。1908年、咬合器についての論文を発表、Gysiの前期の下顎運動に関する考え方を示したものとして注目される。また、同年にアダプタブル咬合器を開発。この咬合器には切歯指導板が取りつけられており、Gysiの咬合器開発におけるもっとも卓越した業績のひとつに数えられている。同年、ウィッププンクト咬合器を開発、側方運動の回転中心を設定するためにウィッププンクト中心釘をもうけた。1914年、シンプレックス咬合器を開発、以後の平均値咬合器の設計に多大な影響を与えた。1927年、トゥルーバイト咬合器を開発。1929年、下顎運動理論に幾何学的な作図法を導入し、軸学説および咬合小面学説を発表。1937年、軸学説に根拠をもつトゥルーバイト・ニュー・ヒュー20度陶歯を完成。
晩年になって精力的に研究をつづけ、1949年に、ギージー・フィッシャー咬合器を試作。1957年に92歳で没するまで、下顎運動や咬合器に関する67編の論文を遺し、開発した咬合器は十数機種に及んだ。また、趣味も幅広く、とくに蝶の収集や雪片の研究は素人の域を脱していたといわれる。
Gysiの研究は、下顎運動の理論の確立と下顎運動の測定器の考案、数多くの咬合器の開発および人工歯の製作など、絶えず理論を臨床術式に生かすことを目的として行なわれている。Gysiの軸学説が発表された1920年代には、Hanau、Hall、Monson、McCollum、矢崎らが輩出し、数多くの下顎運動理論が誕生したが、そのなかでも、軸学説や咬合小面学説がとくに脚光を浴びたのは、臨床に結びつけられた理論であったからであろう。このため、Gysiの名声は世界的に広まり、わが国の長尾、沖野らも直接Gysiに学び、その理論と臨床術式を日本に普及させた。主著に、Handbuch der Zahnheilkunde、IV、Scheff(1929)、Modifikation des Artikulators und Aufstellregeln fur Vollprothesen、Bern u. Stuttgart(1958)などがある。