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胸鎖乳突筋

【読み】
きょうさにゅうとつきん
【英語】
Sternocleidomastoid muscle
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
浅頚筋のひとつで、顎蓋と胸骨、鎖骨との間を斜走する。胸骨上縁、胸骨柄前面および上縁と鎖骨の胸骨端から起始し、両頭は合して強い筋腹をつくり後上方に走行して乳様突起および上項線の外側部に停止する。副神経(第11脳神経)外枝と頚神経叢の筋枝(C2、C3)の支配を受ける。両側が同時に作用すると頭部を前下方に引き、片側が作用すると頭を対側に向ける。下顎が側方運動を営むときには、非作業側の胸鎖乳突筋が緊張して頭部を固定し、下顎の側方運動を可能にしている。頭蓋下顎障害患者では、胸鎖乳突筋に圧痛が認められるものが多い。顎運動との関係が指摘されている(河野ら 1987、吉田 1988、佐藤 1993)。
頭蓋下顎障害の圧痛検査においては同筋は2または3部位に分けて調べられる。上方部、中部、下方部に分けた場合、50名の患者について研究した吉浦ら(1992)によれば圧痛の出現率は術前では、それぞれ、49%、40%、14%で、術後には5%、2%、0%といずれも上方から下方にいくに従い出現率は低くなると報告している。圧痛の左右差について100名の患者の術前・術後について調べた橋口ら(1995)は、左右差の改善には3部位で差があり、中部、上方部、下方部の順で中部は30部位中第5位であったと報告している。他の部位との相関について調べた三井ら(1993)の報告では、これら検査部位相互の相関以外に、同側および反対側の筋中央部(中部および上部)ならびに、上部とは同側の内側翼突筋停止部、顎二腹筋後腹部、側頭筋前部、咬筋浅部起始部との間に相関を認めている。