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近心咬合

【読み】
きんしんこうごう
【英語】
Mesioocclusion
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
上下顎歯列弓の近遠心的位置関係の不正のひとつ。下顎歯列弓が近心へ変位している切端咬合、反対咬合などをさしていう。上下顎歯列弓の相対的位置関係を表す用語であるため、その基準は研究者により一定せず、また定量的にも明示されていない。たとえば、Angleは上顎歯列弓は特別の場合を除いて正常な位置にあり、とくに上顎第1大臼歯の位置が不変constancy of the upper first molarとしこれを基準としたため、彼の不正咬合分類法では、近心咬合は下顎歯列弓が正常より近心に咬合するものとされ、アングルの分類では第・級としている。上顎歯列弓自体が近遠心的に不正な位置に存在しうることが自明の理となった今日では、この分類法には矛盾を感じざるをえないが、上下顎前歯部のオーバージェットの計測とともに、一応の目安として用いられている。近心咬合では、偏心運動時に前歯部のガイドが得られないため、臼歯部に咬頭干渉が生じることが多い。したがって、近心咬合にミューチュアリー・プロテクテッド・オクルージョンを与えるのは困難である。