クリステンゼン現象
- 【読み】
- くりすてんぜんげんしょう
- 【英語】
- Christensen phenomenon
- 【辞典・辞典種類】
- 新編咬合学事典
- 【詳細】
- 無歯顎患者に咬合面の平らな咬合堤を装着して偏心運動を行なわせたときに、上下顎の咬合堤の臼歯部に三角形の隙間が現われる現象。1905年、Christensenにより発見された。矢状クリステンゼン現象と側方クリステンゼン現象の2種類がある。矢状クリステンゼン現象は前方運動中に現われ、このときに出現する三角形の間隙は後方にいくほど広く、前方へいくほど狭い。この間隙の大きさは、矢状顆路傾斜度が急なほど大きく、矢状顆路傾斜度が緩やかなほど小さくなる。矢状顆路が前下方へ傾斜しているために生ずるもので、遠心にいくほど矢状顆路の影響を大きく受ける。矢状クリステンゼン現象の大小が、矢状顆路傾斜度の大小に比例することを利用し、前方運動時の矢状顆路傾斜度を計測することができる。この原理は前方チェックバイトに利用されている。
側方クリステンゼン現象は、側方運動中に非作業側の上下顎咬合堤の臼歯部に現われるものである。側方運動中に作業側の下顎咬合堤は、接触したまま頬側へ移動するが、非作業側の下顎咬合堤は非作業側の顆路の影響を受けて前下内方へ移動し、この部分に三角形の空隙を生じる。側方クリステンゼン現象の大小が水平側方顆路角の大小に比例することを利用し、患者の水平側方顆路角を計測することができる。この原理は側方チェックバイトに利用されている。
クリステンゼン現象が発生すると、総義歯の安定が損なわれるので、総義歯の調整時にこれを防止する処置をとらなければならない。矢状クリステンゼン現象は、前後的調節彎曲を与えることによって防止され、側方クリステンゼン現象は側方調節彎曲を与えることにより防止される。このような調節彎曲を与えることにより、両側性平衡(3点接触咬合)が得られ、総義歯は安定する。