クリノメータ
- 【読み】
- くりのめーた
- 【英語】
- Facial clinometer
- 【辞典・辞典種類】
- 新編咬合学事典
- 【詳細】
- 1896年、Walkerにより開発された顆路傾斜度測定装置。ウォーカーの顆路傾斜度測定器ともいう。下顎に取りつける一種の測定用顔弓と、顆路傾斜度を測定するための有溝桿と、これを頭部に取りつけるための金属性の帯環(ヘッドフレーム)とからなっている。測定用顔弓の突起が前下方に移動した位置に合わせて有溝桿の角度を固定すると、顆路傾斜度が読み取れるようになっている。直線の有溝桿が使用されているため、顆路の曲線は記録できない。Walkerはこの装置を用い側方運動中に顆頭が前下方へ移動することを発見し、1889年にLuceが唱えた“下顎は前方へ移動する”といういう事実に、さらに下方への要素を加味し、Bonwillの理論を訂正した。Walkerは矢状顆路傾斜度には個人差が多いが、その平均が35度であることをつきとめ、1896年、ボンウィルの咬合器の顆路指導部に35度の矢状顆路傾斜度を付与したボンウィル・ウォーカー咬合器を発表している。これがWalkerの最初の咬合器である。Walkerはまた側方運動中に作業側の顆頭が後上方へ移動することが多いということをつきとめ、この運動が矢状顆路傾斜度と同様に臼歯部の咬合面形態に大きな影響を与えることを言及している。そしてこれらの研究成果をもとに、最初の顆路調節性咬合器(フィジオロジック咬合器)を開発している。
→ウォーカー咬合器、フィジオロジック咬合器