茎状突起
- 【読み】
- けいじょうとっき
- 【英語】
- Stylo process
- 【辞典・辞典種類】
- 新編咬合学事典
- 【詳細】
- 茎状突起は側頭骨の錐体下面にある細長い突起で前下方に向かう。この突起からは茎突舌骨筋と茎突咽頭筋、茎突下顎靭帯と茎突舌骨靭帯の筋および靭帯が起始している。茎状突起の長さには個体差があるが、加齢とともに延長する傾向がある。
茎状突起過長症Eagle’s Syndrome、elongation of the stylohyoid ligamentは開口時に茎状突起が下顎枝内面と近接することによる嚥下困難と嚥下痛をともなう。関連痛が耳下部に現われる。軽度の場合、耳下部の違和感のみを訴える場合がある。また、茎状突起骨折を生じている場合もある。これらの場合には開口時の顎角後部の鈍痛を訴える場合があり、顎関節症と誤診されることがある。また、顎関節症様の耳下部の痛みを訴える患者では茎状突起の骨折が認められることがある。鋭痛は稀である。これは新鮮な場合もすでに陳旧化した場合もある。また、骨折が無症状に経過する例や複数の骨折を認める場合もある。
茎状突起過長症の診断は、オルソパントモグラフにより他の構造物との関係を知ることができる。咬合平面の高さを越える場合に問題の生じやすいことがある(Haden 1986)との見解がある。側方セファロによっても同様の観察が可能なことが多いが左右の像が重なる欠点を有する。経眼窩法により比較的に良好な像を得ることができるが、他の構造物との関係を知ることはできない。軽度の場合には原因の説明と運動の制限を行なえば予後は良好である。