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頚部

【読み】
けいぶ
【英語】
Cervical area
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
頚部は頭部と胸部を結ぶ部分である。頭蓋を支えるとともに内部には頭部と体幹部を結ぶ重要な神経や血管の通路となっている。
頭蓋下顎障害においては顎口腔系に原因があって頚部に異常が生じることもあれば、逆に、頚部の異常により顎関節症様の症状を呈したり、開口障害を生じることがある。
頚筋は、浅頚筋、前頚筋、側頚筋、後頚筋に分けられる。浅頚筋は、下顎底と鎖骨の間に広く拡がる広頚筋である。前頚筋は、下顎骨と胸骨の間を縦走する筋群で、舌骨上筋群と舌骨下筋群に二大別される。側頚筋は、頭蓋底後部の乳様突起と胸骨・鎖骨の前部との間を斜走する胸鎖乳突筋である。後頚筋は、椎骨と肋骨後部の間を縦走する筋群である。椎前筋、斜角筋、頚長筋を含み、斜角筋は前、中、後斜角筋を含む。
さらに後頚部には脊柱後部の筋として、深背筋、肩甲挙筋が、後頚部を覆う筋として僧帽筋がある。
頚部の上方は後方では後頭部となっている。後頭骨に起始する筋は後頭筋と総称される。これには数多くの筋が含まれる。
臨床的には、頭蓋下顎障害患者で頭部前方姿勢をとるものでは、圧痛検査で凝った感じ、または軽度の圧痛の結果が多い。顎関節症患者50名の治療前後の圧痛の変化を調べた研究(吉浦ら 1992)では、後頚部の圧痛の出現率は8%で術後には消失した。僧帽筋起始部では圧痛の出現率は4%で術後には消失した、後頭部の圧痛の出現率は18%で術後には消失した、と報告している。圧痛の部位間の相関関係を調べた研究(三井ら 1993)では、これら三部位間には相関関係が認められること、後頭部ではさらに眼窩下孔部、咬筋浅部停止部、筋浅部停止部など遠隔部の圧痛との間に相関が認められたことを報告している。