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咬合

【読み】
こうごう
【英語】
Occlusion
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
顎口腔系の神経筋機能による上下顎歯の噛み合わせ。古くは、咬合と咬交の概念を区別し、咬合は下顎が閉じたときに生ずる歯の接触関係を意味し、咬交は上下顎の歯が偏心運動中に接触滑走することを意味した(沖野 1936)。しかしこうした考え方は、今日無意味なものになりつつあり、咬合という言葉を広義に解釈して咬交の概念はそのなかに含むようになっている。
咬合は、上下顎の歯を噛み合わせる動作によって営まれ、1歳前後に上下顎乳中切歯が萌出して接触した時点からはじまる。その機能は歯、歯周組織、筋群、顎関節、口唇、頬、口蓋、舌、唾液分泌器官のような咀嚼器官の総合作用によって営まれ、神経筋機構によって支配される。中心位の早期接触、側方運動時の咬頭干渉、過度の歯の磨耗による垂直顎間距離の減少、反射的な噛いしばり、歯ぎしりなどがあると、これらの異常は歯根膜の受容体を介して反射中枢に送られ、固有感覚機序によって咀嚼器官の障害を最小限度にくいとめるように、下顎の位置が調節される。正常な咬合は咀嚼筋群の活動性を保護するが、異常な咬合は筋群の協調作用を破壊する。このような乱れは筋に異常な緊張を引き起こし、これが顎口腔系に重大な影響を与え、顎関節症などの症状を惹起すると考えられている。
いわゆる咬合は、下顎を閉口させたときの咬合をあつかうセントリックの咬合occlusionと下顎に偏心運動を行なわせたときの咬合様式をあつかう偏心位の咬合articulationに大別される。中心位の定義は過去70年の間に最後退位からRUMポジションを経て前上方位へと変遷した。偏心位の咬合様式は過去100年の間に、バランスド・オクルージョンからミューチュアリー・プロテクテッド・オクルージョンへと変遷し、その間にグループ・ファンクションのような中間的咬合様式を派生した。