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咬合学

【読み】
こうごうがく
【英語】
Science of occlusion
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
咬合に関する機序や機能および治療を研究する歯科医学の一分野。これまで咬合に関する科学は主に補綴学の領域に含まれ、狭義に上下顎の噛み合わせを主体とした歯や歯列の機能を研究する学問とされてきた。下顎運動と咬合の重要性が注目されるようになり、咬合に関する認識は変化し、単なる上下顎歯の噛み合わせから、咬合と顎口腔系全般の関連性が問題にされるようになった。そのため咬合は単に補綴学の領域にとどまらず、歯周病学、矯正学、口腔外科学、解剖学、生理学、運動学など、さまざまな専門分野の知識を統合し整理されなければならない必然性を生じてきた。このような立場から、咬合は1つの独立した学問として体系を備えることが必要となり、咬合学が誕生した。
従来咬合学には2つの流れがあった。1つはアメリカを中心として発展したナソロジーで、これはとくに機械的咬合論に立脚し、McCollum、Stallard、Stuart、Thomas、Grenger、Lucia、Kornfeldらにより支持された。他の1つは、北欧を中心として発展したスカンジナビア学派と呼ばれるもので、これは生物学的咬合論に立脚し、Krough-Poulsen、Beyron、Posselt、Lauritzenらにより支持された。ちなみにナソロジーは顎咬合学と和訳され、顎口腔系に関する解剖、組織、生理、病理を取りあつかい、診査、診断、治療計画を基礎とし、顎口腔系の治療を行なう科学と定義されている。今日では、これらに電子計測のデータが加えられ咬合学は急激にその分野を拡大している。
わが国では咬合学を対象とした学会に日本顎咬合学会がある。会員は臨床医が主体で、17年前から臨床知見の交流を主とした学会活動を続けている。他に日本顎口腔機能学会がある。会員は大学研究者が主体で、5年前から電子計測を駆使した活発な研究発表とディスカッションが続けられている。最近では3次元6自由度の計測能力をもつ下顎運動電子計測システムを用いた研究発表が目立つようになった。両学会とも顎関節症の治療を視野に入れている。
顎関節症と咬合の関連については世界的に研究とディスカッションが行なわれている。顎関節症の1次的要因については咬合要因をあげる見解と精神的要因を含む他の要因をあげる見解とが相半ばしており、顎関節症と咬合がどのように関連するか、そのメカニズムと程度について現時点ではまだ定かでない。