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咬合干渉

【読み】
こうごうかんしょう
【英語】
Occlusal interference
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
正常な下顎運動を妨げるような歯の接触。GPT-6では、他の咬合面が安定にかつ調和して接触するのを妨げる何らかの歯の接触、と定義されている。中心位で発生するものと偏心位で発生するものとがあり、前者は中心位の早期接触、後者はそれぞれの顎位における咬頭干渉と呼ばれている。意味内容からは従来の早期接触premature contactの定義に類似しているが、GPT-6ではpremature contactおよびprematurityは偏位性咬合接触deflective occlusal contactをみよとされている。deflective occlusal contactの項には、歯を変位させたり、本来の下顎運動を変化させたり、義歯床を変位させる接触と記載されている。
下顎運動の解剖的決定要素には左右の顎関節と歯列があることはよく知られた事実であるが、両者は完全に独立した要素というわけではなく、歯の接触によっては顎関節内の下顎頭の位置に影響を与える場合がある。たとえば、咬筋・内側翼突筋・側頭筋などの閉口筋により発揮された閉口力(垂直圧)を、II級テコの支点として力の方向を約180度変換して下顎頭を下方(垂直圧:非作業側の干渉、前方運動時の干渉)、あるいは斜面(偏位性咬合斜面:deflecting incline)により力の方向を、約90度変換して、後方(水平圧:作業側の下顎遠心偏位力distalizing force)、前方(水平圧:中心位の干渉)に偏位させるように働くことがある。下顎頭は、その構造から、前方への偏位と前方位から咬頭嵌合位までの偏位に対しては抵抗性が強い。しかしながら限界位からの、後方や下方への偏位に対しては比較的に弱いと考えられる。
咬合干渉と考えられる接触とその為害性の評価は時代とともに変化しているが、非作業側の干渉、中心位または咬頭嵌合位の干渉、前方運動時の臼歯部の干渉、さらに作業側の干渉などが代表的である。
⇒早期接触、咬頭干渉、偏心位の咬頭干渉