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咬合力

【読み】
こうごうりょく
【英語】
Bite force
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
歯の咬合面間、あるいは咬合面と食塊などの間に作用する力。類語の咬合圧は、事実上ほぼ同義に用いられている。1歯の負担できる咬合力の大きさは、咀嚼筋活動、槓桿作用、歯周組織の負担能力により決まるとされ、大きいほうから第1大臼歯、第2大臼歯、小臼歯、犬歯、切歯の順になる。一方、噛みしめを行なったとき、各歯に作用する咬合力を同時記録すると第2大臼歯でもっとも大きく、前方の歯ほど小さい。同じ人から噛みしめの強さを変えて歯列上の咬合力を記録すると、各歯の咬合力が歯列全体の咬合力に占める比(咬合力比)は、中等度以上の強さの噛みしめで、ほぼ一定となる。そこで、この各歯の咬合力比は、個々人の咬合の定量的な指標として、咬合診断に用いられる。咬合力測定の臨床応用例には、この他、最大咬合力を指標とした全部床義歯の機能評価や、最大咬合力を利用して無歯顎者の咬合高径を記録する装置Gnathodynamometerが知られている。
正常有歯顎者42名について、最大噛みしめ時の咬合力を感圧フィルムDental Prescale 50Hで測定した結果(服部ら 1994)を下表に示す。計84側の下顎片側歯列のうち、第3大臼歯に咬合接触のない65側の歯列について、下顎各歯に発現した咬合力の平均を求めた。咬合力の単位Nは“Newton”で、1Nは約0.1kgである。表中の値は最大噛みしめ時に各歯に負荷される咬合力の分布を示している。両側の全歯に負荷される咬合力は205~1963Nの範囲に分布し、平均879Nであった。

歯種 咬合力(N)
中切歯    15.0N
側切歯    12.6N
犬歯     19.7N
第1小臼歯   23.1N
第2小臼歯  30.5N
第1大臼歯  130.4N
第2大臼歯  211.8N