交叉咬合
- 【読み】
- こうさこうごう
- 【英語】
- Cross bite
- 【辞典・辞典種類】
- 新編咬合学事典
- 【詳細】
- 上下顎歯列弓の水平的咬合異常のひとつ。歯の頬舌的位置異常を示す用語として用いられている。咬頭嵌合位で、上顎歯が下顎歯に対して舌側位に咬合し、それが片側性に出現した場合に呼ばれる。交叉咬合には数歯に限局された歯槽性の位置異常によるもの、下顎歯列あるいは下顎骨が顔面頭蓋に対し非対称性に偏位しているもの、あるいは咬頭干渉による機能的下顎偏位によるものなどがある。上顎舌側咬頭外斜面と下顎頬側咬頭外斜面とが接するものを頬側交叉咬合といい、上顎歯が下顎歯に対し舌側で咬合するものを舌側交叉咬合という。また舌側交叉咬合が両側性に強度に現われて、上顎頬側咬頭外斜面が下顎舌側咬頭外斜面と鋏状に接するものを、鋏状咬合あるいはtotal lingual occlusionと呼ぶ。
交叉咬合の原因には、歯性によるもの、筋性によるもの、骨の成長変異によるものとがあり、一般に片側性の交叉咬合のとき、咬頭嵌合位で正中線はずれ、安静位では正中線が一致することが多い。このような交叉咬合は、歯性と筋性の機能異常に由来する。これに対し安静位でも正中が一致しないものや、開口するに従って下顎の正中線が顔面の正中より離れていくものは、骨性の異常をともなった交叉咬合と考えられる。下顎の偏位をともなうような交叉咬合では早期の処置が必要で、時期が遅れると顎顔面の構造的な異常を誘発することが多い。