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咬耗

【読み】
こうもう
【英語】
Attrition
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
歯または修復物の、対合歯との直接的接触あるいは食品を介しての接近によるする減りをさす。人類学において歯の咬耗はその時代の食品の性状や寿命を推定するうえで重要な因子である。現代は道具や調理方法の発達によって柔らかい食品を食するようになり、咬耗の程度は減少している。しかし、咬耗の程度を比較するとほとんど咬耗していない個体があるかと思えば、ブラキシズムなどの習癖により著しい咬耗を認める個体もあり、その個人差は大きい。また、同一個体において咀嚼で咬耗した面と、咀嚼では関係しない距離にある犬歯尖頭が咬耗している個体も認められ、このような症例にすり減りにくい陶材や硬めの合金を用いて修復しなければならない場合には注意を必要とする。
咬耗面facetは咬耗により生じた面で、平坦にみえるが実際には曲面を呈する。咬耗面には過去の接触により生じ現在は接触のないものもある。また、異常機能時のみにはじめて接触するものもある。とくに金属修復物の場合に咬合接触の強い部位は輝点shiny spotと呼ばれ、早期接触部位となっている可能性がある。
咬耗を歯列単位で眺めると前頭面的なウィルソン彎曲が失われ、上方に凸彎したいわゆるアンチ・ウィルソン彎曲を呈する場合がある。