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ゴシック・アーチ描記法

【読み】
ごしっく・あーちびょうきほう
【英語】
Gothic arch tracing method
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
⇒ゴシック・アーチ・トレーサ 
下顎運動の描記装置のひとつ。ゴシック・アーチを描記するためこの名がある。切歯路描記器とも呼ばれる。主として無歯顎者の咬合採得時に、水平的顎位を決定するために用いられる。口外法用と口内法用の2つがあり、それぞれ口外ゴシック・アーチ・トレーサextraoral gothic arch tracer、口内ゴシック・アーチ・トレーサintraoral gothic arch tracerと呼ばれる。口外法と口内法とでは描記針と描記板の位置的関係が異なるため、ゴシック・アーチの頂点の方向が逆になる。
口外ゴシック・アーチ・トレーサは、固定器により下顎の咬合堤に取りつけ、口唇前方へ突出する描記板と、上顎咬合堤前端に取りつけ、口外へ突出する描記針とから構成されている。もっとも古く、かつ代表的な装置にGysiのゴシック・アーチ・トレーサがあり、その構造と原理は現在でもそのまま使用されている。口外ゴシック・アーチ・トレーサを使って描かれる運動路は実際の下顎運動量よりも拡大されたものとなるため、中心位を確認しやすい。また描記装置が口腔外にあるため、直視下で操作できるという利点もある。しかし描記中に上下顎の咬合床間に摩擦を生じるため、不安定となり、下顎運動を円滑に記録できないことがある。
口内ゴシック・アーチ・トレーサは、上顎咬合床の口蓋中央部に取りつけられた描記板と上顎咬合床の中央に固定された描記針とから構成されている。口外ゴシック・アーチ・トレーシングの歴史は古く、その端緒となったのはWarneckros(1892)の口内描記法である。この方法は、その後、Hesse(1897)やGysiによって改良され、今日みられるような装置になった。軽量で取りあつかいやすく、咬合床の安定もよく、しかも計測される運動路が、下顎の実際の運動量と同大になるなど多くの利点をもっている(松本 1972)。その反面、描かれる運動路が小さいため、中心位の識別が困難になり、運動路を直視できないため操作が不確実になりやすいといった欠点がある。咬合圧が加わるため細い描記針を使用することができず、これも精度を低下させるひとつの原因になっている。
⇒口内描記法、口外描記法