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耳介側頭神経

【読み】
じかいそくとうしんけい
【英語】
Auricurotemporal nerve
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
三叉神経の第3枝下顎神経の枝。感覚性の神経である。下顎神経が卵円孔の直下で、主枝と咀嚼筋に分布する神経とに分かれる間から分枝して起こり、普通、中硬膜動脈を間にはさむ2根ではじまり外側翼突筋の内側を後方に走り、蝶形骨棘の直下、蝶下顎靭帯の外側で吻合して1本となる。そして下顎骨の関節突起内側を後方に向かい、関節突起後面を弓状を描いて外方に曲がり耳下腺の内側で浅側頭動脈の後側付近で多くの枝に分かれる。耳介側頭神経の枝は、耳介の前部、外耳道の皮膚、鼓膜外面、耳下腺、側頭部の皮膚および顎関節に分布し、感覚を司どる。顔面神経との交通枝もみられる。顎関節の神経支配は、耳介側頭神経、咬筋神経および深側頭神経よりなっているが、主として、顎関節包の後部はほとんど耳介側頭神経の枝によって支配され、また、咬筋神経は関節包の前部を支配している。
Costen(1934)は、咬合高径が低下すると下顎頭が変位して、顎関節の後壁を絶えず圧迫し、耳介側頭神経を刺激し、Costen症候群を発症すると述べている。しかし、この神経は、機能時に顆頭によって圧迫されるような位置には存在しないことがわかり、Costenの考え方は現在では否定されている。
顎関節症の診査と治療の目的に行なわれる下顎枝後縁部の局所麻酔では耳介側頭神経のループ状の部分に作用すると考えられる(木村ら 1990)。