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受容体

【読み】
じゅようたい
【英語】
Receptor
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
体内や体外からのさまざまな刺激を受け入れる細胞または神経の終末器官。受容器ともいう。受容体から受け入れられた刺激は、求心性神経を経て脳の中枢に伝達され、さらに遠心性神経を介して効果器に至り、感覚に応じた促進的あるいは抑制的な各種の反応を惹起する。
下顎運動に関与する主な受容体は、内受容体、外受容体および固有受容体の3つに分類されている。内受容体は内蔵の飢、渇、疼痛、その他、疲労、悪寒、尿意、性欲、全身の快・不快など、内蔵感覚に関係がある。下顎運動に直接的に関与することは少ないが、自律神経系の器官に反応を起こすことが多いので、時として下顎運動を左右して、顎口腔系の諸機能に影響を与える。外受容体は、触覚、圧覚、冷覚、温覚などの体性感覚と、味覚、嗅覚、視覚、聴覚などの特殊感覚とに関係がある。このうちの体性感覚は、下顎運動や顎反射に直接に関係がある。圧覚および触覚は、粘膜のマイスネル小体、メルケル小体、皮膚の毛根部の神経冠などの外受容体によって、冷覚および温度覚は、クラウゼ小体、ルフィーニ小体などの外受容体により感受されるといわれてきたが、これらの小体は触、振動などの受容も行なう。また、自由神経終末は痛覚の他、温度感覚も受容する(坂田 1976)。これらの受容体のうちで、三叉神経の上顎神経と下顎神経の感覚神経と連続しているものは、その支配される広範囲の口腔領域に強い適当刺激が加えられると、開口反射を引き起こすことはよく知られている。また外受容体は、触覚の識別や温度のわずかな差の判別、疼痛の認知などに関与し、咀嚼、食物の選択、有害物の排除、嚥下、発生など、さまざまな口腔の諸機能を助けている。
固有受容体は体の位置や運動に関係があり、この受容体は筋、腱、迷路などにある筋紡錘、腱受容体、平衡感覚受容体がこれに相当する。また、筋膜や関節包の内外にはゴルジ・マッツォーニ小体、ファーテル・パッチーニ小体があるが、これらは圧や振動の受容体である。これらの受容体は、いずれも身体の姿勢や運動を調節する筋や腱に反射的に働きかけている。この受容体は、下顎位や下顎運動の調節にもっとも関係が深い。咀嚼筋中には筋紡錘があり、これが開口運動により伸展されると、その機械的刺激が求心性神経路を上行し、三叉神経中脳路核を経て、三叉神経運動核に伝えられ、これ以上下顎が開口しないように、開口筋には抑制的に、閉口筋には促進的に作用する。一方、閉口運動により咀嚼筋(開口筋)の筋紡錘が収縮すると、この機械的刺激は同様の伝導路を経て運動核に伝えられ、これ以上下顎が閉口しないよう、閉口筋には抑制的に、開口筋には促進的に作用する。また、顎関節包に加えられた機械的刺激は、半月神経筋を経て、三叉神経の主知覚核や脊髄路核に伝えられ、さらに運動核に達し、下顎の開口運動や閉口運動を調節するように働いている。
⇒固有受容体。