水平軸
- 【読み】
- すいへいじく
- 【英語】
- Horizontal axis
- 【辞典・辞典種類】
- 新編咬合学事典
- 【詳細】
- 正中面に直交する上顎固定の座標軸。左右軸ともいう。水平軸に対し、前後方向の軸を矢状軸、上下方向の軸を垂直軸という。下顎運動を計測したり解析する場合に上顎固定の基準座標系における左右方向を規定する座標軸で、下顎が中心位にあるときの左右の顆頭中心を結ぶ水平軸を水平基準軸と呼ぶ。水平基準軸は中心位における顆頭間軸である。通常Y軸に指定される。下顎運動の解析で垂直軸の下方を正、矢状軸の前方を正にとるときは、右手座標系のルールにのっとり水平軸の左方を正にとる。下顎が最後退位にあるときの水平基準軸をターミナル・ヒンジアキシスと呼び、この軸が左右の皮膚面を貫通する点は後方基準点と呼ばれ、上顎模型を咬合器にトランスファするときに利用されている。中心位の定義が最後退位から前上方位に変わったため、前上方位における水平軸(水平基準軸)はトランスバース・ホリゾンタルアキシスとなった。
水平軸は、一般に矢状面内でその回りに下顎が回転する回転軸(De Pietro 1963)と定義されることが多いが、運動学におけるオイラの定理に基づき、3次元空間内における下顎運動を回転と平行移動の合成として大局的にとらえる場合には、この定義は誤解を招きやすい。たとえば開閉および前方運動の場合、下顎は全運動軸(顆頭間軸)の回りに蝶番回転しながら前下方に移動する。また側方運動の場合、下顎は側方旋回軸の回りに側方旋回しながらトランスバース・ホリゾンタルアキシスに沿って作業側の外側方へわずかに平行移動する。いずれも下顎固定の“動く回転軸”であって上顎固定の回転軸ではなく、また後者では軸の方向も厳密には左右方向ではない。
⇒下顎運動の運動学的構成