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正中面

【読み】
せいちゅうめん
【英語】
Median plane
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
頭蓋骨の矢状縫合と平行で頭蓋を対称的に左半分と右半分に分ける仮想平面。GPT-6では、身体を前後に縦割りして左半分と右半分に分割する仮想平面、と定義されている。正中面と水平基準面とにより上顎固定の基準座標系を定めることができ、下顎運動の計測や解析に用いられる。フェイスボウ・トランスファまたは下顎運動計測においては、左右の後方基準点と前方基準点を含む平面を水平基準面、水平基準面に平行な平面を水平面、左右の後方基準点を結ぶ軸と直交しかつその軸の中点を通る平面を正中面、正中面に平行な平面を矢状面、水平基準面と矢状面に直交する平面を前頭面と定義している。ちなみに上記のように定義された正中面は顔の発育が左右非対称の場合解剖的に定義された正中面と一致しない。
臨床上、歯列弓に沿って正中面に近づく向きを近心、正中面から遠ざかる向きを遠心という。具体的には歯列弓上で中切歯に近づく向きが近心、遠ざかる向きが遠心である。近心、遠心という向きの区分は臨床的に口腔内をみるときには便利であるが、歯列弓に沿って定義されているため、その方向は大臼歯付近ではほぼ前後方向を向き、中切歯に近づくにつれ左右方向が加わって斜めを向くようになる。したがって下顎運動の計測・解析や歯列弓上の歯の位置計測には近心・遠心でなく、直交座標系の前後・左右の表現を用いるほうが便利である。