セントリック・ストップ
- 【読み】
- せんとりっく・すとっぷ
- 【英語】
- Centric stop
- 【辞典・辞典種類】
- 新編咬合学事典
- 【詳細】
- セントリック・ホールディング・カスプと対合歯との間に生ずる接触。GPT-6では、対向歯列間の咬合高径を維持する咬頭と窩の接触と定義されている。咬頭嵌合位と垂直顎間距離を保持する働きをする。セントリック・ストップはその接触部の性状により、点接触咬合と面接触咬合の2つに分けられる。前者はセントリック・ストップが点状に存在するもので、ミューチュアリー・プロテクテッド・オクルージョンの3点接触tripodismはその理想的な例である。トーマスの3点接触咬合では歯や歯周組織の負担が最小になり、咬耗も生じにくい。そのため長年にわたり安定した咬合が得られ、また咀嚼能率も高いとされている。しかしこのような咬合を天然歯列にみつけることは稀である。
後者は咬耗小面の存在によってつくり出されるもので、天然歯列に多くみられる。面接触咬合ではセントリック・ストップは咬耗面中におかれるため、咬耗の進行にともなって接触面積が広げられ、また咬頭嵌合位そのものも次第に前方へ移動していく傾向がある。長年の間に前歯の咬耗を引き起こし、垂直顎間距離も減少する。面接触咬合では咬頭嵌合位が全歯列にわたって常に安定しているとは限らない。そのため顎関節や咀嚼筋の負担が大きくなる。また歯列や歯周組織に対する加重も増大される傾向がある。