早期接触
- 【読み】
- そうきせっしょく
- 【英語】
- Premature contact
- 【辞典・辞典種類】
- 新編咬合学事典
- 【詳細】
- 中心位で閉口したときに、上下顎歯が咬頭嵌合位に達する前に、歯列内の一部分の歯が接触している状態。従来centric premature contactと呼ばれてきたが、GPT-6でdeflective occlusal contact(偏心咬合接触)と呼称変更され、“歯を変位させたり、下顎を望ましい運動からそらせたり、可撤義歯を本来の位置からずらせたりする咬合接触”と定義されている。
中心位の早期接触は、主として第2大臼歯とその隣在歯に多発し、つづいて第1小臼歯に発生する。中心位の早期接触は、中心位と咬頭嵌合位との不調和を招く主因となる。水平面内に起こる偏位のあり方により次のように分類されている(Lauritzen1974)。1)咬頭嵌合位が中心位の前方に偏位するもの(MIOP)、2)咬頭嵌合位が中心位の側方に偏位するもの(LIOP)。3)咬頭嵌合位が中心位と一致しているもの(THIOP)。LIOPはさらに2種類に分けられ、下顎が早期接触のある側へ偏位するものをLIOP、NW-type、早期接触のある反対側に偏位するものをLIOP、W-typeと呼んでいる。一般にLIOPはMIOPよりも有害で、またその発生頻度もLIOPのほうが高い。LIOPではW-typeよりもNW-typeのほうが有害で、発生率も高い。前後的な下顎の偏位の量は、1.25±1mmの範囲にあるといわれ(Posselt1952)、0.3mm以内なら正常、0.3~1.0mm以内は要注意、それ以上は病的といわれ、診断の基準のひとつにされている。
もし中心位の早期接触があると、中心位で閉口したときに閉口路が妨害されるので、下顎はこれを避けて咬頭嵌合位を偏位させなければならなくなる。このような状態が長くつづくと咀嚼筋は下顎を偏位させるために緊張しつづけなければならなくなり、ストレスが高まる。顎口腔系の組織はある程度のストレスには耐えるが、限度を越えると、障害が発生する。
早期接触はターミナル・ヒンジアキシスとセントリック・バイトによって、咬合器上に取りつけた歯列模型上で確認することができる。咬合器の顆頭球がハウジングの最後上方に位置している状態(中心位)で咬合器を閉じ、最初に接触した歯を確認する。次に上下顎の歯列模型を最大面積で接触させるように固定し、咬頭嵌合位を再現する。このとき顆頭球はハウジングの前下方に引き出されるから、中心位に対する咬頭嵌合位のずれの量や方向を、垂直的ならびに水平的に知ることができる。咬合器を中心位に保持した状態で、12.5μの厚さをもつオクルーザル・レジストレーション・ストリップスを上下顎の歯列の間に介在させ、これが保持されるか否かを調べる。ストリップスが保持された箇所が早期接触となる。咬合面上の接触部位は、カーボン紙を使用してその位置を確認する。早期接触は、普通、咬合調節によって取り除くことができるが、歯の削除量が多量になる場合は、補綴処置(オクルーザル・リコンストラクション)が必要になる。
中心位の定義が最後退位から前上方位に修正されたのにともなって、中心位と咬頭嵌合位の間の前後的なずれの値もPosseltによる平均1.25mmから保母、岩田(1984)による平均0.3mm、Dawson、Ramfjordらによる0.2mmへとせばめられている。また上下的なずれについても中心位の定義が最後退位にあった時期には運動範囲菱形柱を描いた図形において、中心位(CR)の位置が咬頭嵌合位(CO)の位置より後方かつ下方に描かれるのが常であったが、保母、岩田(1984)によると上下的なずれは平均0.3mmであり、上下的なずれの大きさもせばめられている。