調節湾曲
- 【読み】
- ちょうせつわんきょく
- 【英語】
- Compensating curve
- 【辞典・辞典種類】
- 新編咬合学事典
- 【詳細】
- 咬合平衡を目的として、総義歯の歯列に付与される湾曲。総義歯の転覆や動揺を防止し、バランスド・オクルージョンを再現することを目的として付与される。調節湾曲には前後調節湾曲と側方調節湾曲の2つがある。天然歯列を矢状面に投影すると、前歯切端と臼歯頬側咬頭頂を連ねた線は、下に凸な湾曲を呈する。この湾曲はスピーの湾曲と呼ばれる。これを模倣して総義歯の歯列に付与された湾曲を前後調節湾曲と呼び、前方運動時に生ずる矢状クリステンゼン現象を防止する。前後調節湾曲の程度は、前歯の被蓋度に影響を与え、調節湾曲が軽度で、オーバーバイトが大きいときは、義歯の平衡のためにオーバージェットを大きくする必要がある。
天然歯列を前頭面に投影すると、臼歯の頬側と舌側の咬頭を連ねた線は、下に凸な湾曲を呈する。天然歯列にみられるこの湾曲はウィルソンの湾曲と呼ばれ、これを模倣して義歯の歯列に付与した湾曲を側方調節湾曲と呼んでいる。側方調節湾曲により側方運動時に両側性平衡(非作業側で1点、作業側で2点、計3点の接触咬合)を生じ、側方クリステンゼン現象が防止される。
これらの調節湾曲は、総義歯の転覆や動揺を防止し、バランスド・オクルージョンを再現するために役立つ。