乳歯咬合
- 【読み】
- にゅうしこうごう
- 【英語】
- Deciduous dentition
- 【辞典・辞典種類】
- 新編咬合学事典
- 【詳細】
- 上下顎の乳歯列を閉じたときに生ずる咬合状態。Hellmanのデンタル・エイジIIAに相当する。乳歯萠出前の乳幼児では、下顎は筋群によりコントロールされ、切歯部の萠出によりはじめて咬合が生じる。そして、乳歯列が完成するに従って乳歯咬合が確立され、同時に下顎運動が咀嚼筋群により学習され、機能的な咬合運動が営まれるようになる。乳歯列は永久歯列に比べ、咬合関係の変異や形態的変化を示さないのが特徴とされている。一般的に、乳歯列は卵円形で、上顎臼歯の近心咬頭は下顎臼歯の中心窩に咬合し、前歯部に空隙を有するspaced typeと、まったく空隙をもたないclosed typeとがある。前歯部の空隙は発育空隙あるいは霊長空隙と呼ばれ、霊長空隙は下顎乳犬歯と上顎乳側切歯の遠心にみられる。しかし、これらの空隙にはどの歯列にもあてはまるようなパターンはないとされている。乳歯咬合完成時には、下顎歯列弓は遠心位に咬合し、オーバーバイトとオーバージェットが大きい。乳歯の咬耗と下顎乳歯列弓の前進により、オーバーバイトは次第に浅くなり、オーバージェットも減少し、ときに切端咬合を呈するようになる。一般的に乳切歯は永久切歯に比べ直立している。乳歯咬合の近遠心関係はterminal planeに現われるが、一般的には、vertical typeが多く、ときとしてステップを生じることがあり、mesial stepとdistal stepに分類される。いずれも正常であるが、将来、第1大臼歯の咬合状態がmesial stepではアングルIII級傾向を、distal stepではアングルII級傾向を生じやすいとされている。