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捻髪音

【読み】
ねんはつおん
【英語】
Crepitation
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
→顎関節雑音 
下顎運動にともなって顎関節より生じる異常音。顎関節の機能障害の診断に用いられる。この音は顆頭と関節円板との間の解剖的関係に由来し、下顎頭が関節円板を滑走する状態により生じるといわれている。診査法には頬骨弓部、咬筋部あるいは前頭部で聴診する方法とオシログラフで再生する方法とがある。とくに後者の方法は、顎関節音を関節音図arthrosonic tracingによって定量化できるため有効である。
顎関節音は、捻髪音crepitusと、クリック音clickingとに大別される。これには種々のものが含まれる。音の性状により、クリッキングと捻髪音(クレピティションまたはクレピタス)に分けられるが明確な分類は不可能である。
クリッキングclickingはGPT-6で、下顎運動中に顎関節から続けて発せられる澄んだ、または鋭い音で、カチッまたはポキッという音、普通耳または聴診器により聴くことができる。顎関節内障と関係していることもあり、関係ないこともある、と定義されている。発生時期により、開口早期クリッキング、開口中期クリッキング、開口後期クリッキング(開口終期クリッキング)、閉口早期クリッキング、閉口後期クリッキング(閉口終期クリッキング)、相反性クリッキング(往復性クリッキング)などに分類される。
捻髪音crepitationは、粗い、ザラザラした、持続する雑音または振動で、OPG-3では変形性関節炎などで、骨が擦れ合う、または不規則な表面の軟骨どうしが擦れ合うことにより生じるものであると記載されている。また、GPT-6には関節から発せられるパチッあるいはゴリゴリするような雑音で、純粋な食塩を火にかけた、または指の間で髪をこするような音である。骨折した骨の両端を擦り合わせたときに生じる音、と記載されている。
可触性関節雑音palpable joint noiseは、下顎頭の外側に人さし指を、下顎角に薬指を置き開閉運動などの被験運動を行なわせるとき、指に関節雑音による振動を感じる場合である。
可聴性関節雑音audible joint noiseは、音として耳で聴くことの可能な関節雑音をいう。
→クリッキング