偏心位
- 【読み】
- へんしんい
- 【英語】
- Eccentric position
- 【辞典・辞典種類】
- 新編咬合学事典
- 【詳細】
- 偏心運動中に発生する下顎位。中心位または咬頭嵌合位に対して用いられる用語。偏心運動が前方運動と側方運動に分けられるように、偏心位は前方位と側方位とに分けられ、前方咬合位と側方咬合位は重視されている。
前方咬合位では、普通上下顎前歯が接触し、臼歯は離開する。正常咬合者では、平均4.0mmの前方運動により上下顎前歯は切端咬合位をとり、この運動中に顆頭は前下方に移動する。この咬合位はチェックバイト法で矢状前方顆頭路傾斜度を再現するために用いられる。
側方咬合位では、作業側の上下顎犬歯だけが接触し、他の上下顎の前歯と臼歯は離開する場合と、作業側の前歯と臼歯の頬側咬頭どうしが接触し、非作業側の歯は接触しない場合とがある。前者はミューチュアリー・プロテクテッド・オクルージョン、後者はグループ・ファンクションと呼ばれ、ともに天然歯の理想咬合とされている。正常咬合者では平均4.5mmの側方運動により、作業側の上下顎犬歯は尖頭対尖頭の咬合位をとり、非作業側の顆頭は前下内方へ移動する。この咬合位はチェックバイト法で水平側方顆路を再現するのに用いられる。
偏心位の咬頭干渉は前方位と側方位(作業側と非作業側)に発生するものがあり、とくに側方運動時の非作業側の咬頭干渉は強大な側方圧を発生するため、為害作用が大きいとされている。