リンガライズド・オクルージョン
- 【読み】
- りんがらいずど・おくるーじょん
- 【英語】
- Lingualized occlusion
- 【辞典・辞典種類】
- 新編咬合学事典
- 【詳細】
- Poundにより提唱された総義歯の咬合様式。バランスド・オクルージョンに属するが、上顎臼歯の舌側咬頭が下顎臼歯の中心窩に嵌合し、各小臼歯で1点、第1大臼歯で2点、第2大臼歯で1点、片側について計5点の咬合接触をもっている。下顎臼歯の頬側咬頭は平坦につくられ、上顎臼歯と接触しない。下顎臼歯の舌側は犬歯の近心と臼後結節を結んだ線cuspid retromolar pad guide lineを目安に排列し、咬合圧が下顎の舌側よりに配分されるように配慮している。非作業側にはクロス・アーチ・バランスが与えられるが、咬合接触は上顎の舌側咬頭だけによって起こるため、大きな側方圧は発生しない。作業側にはクロス・トゥース・バランスが与えられ、上顎の舌側咬頭が下顎の舌側咬頭の内斜面を滑走する。この側方滑走はチューイング・サイクルの範囲内という、きわめて狭い領域で営まれるため、従来のバランスド・オクルージョンのように大きな水平圧は発生しない。
リンガライズド・オクルージョンの利点として、1)義歯の安定がよい、2)上顎舌側咬頭だけが下顎の咬合面窩に嵌合するため、舌側咬頭頂に加わる単位面積あたりの咬合圧が大きくなり、食物を切截する効率が高い、3)側方咬合位にクロス・アーチ・バランスとクロス・トゥース・バランスが付与されるためバランスド・オクルージョンと利点を共通する、4)側方運動時に作業側の上顎舌側咬頭が下顎舌側咬頭内斜面を滑走するため、側方咬合圧が正中よりに加わり義歯の転覆が予防できる、などがあげられる。末次(1973)はこの咬合は片側性平衡咬合unilateral balanced occlusion理論を示唆していると述べている。
→無歯顎の咬合