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ワッズワース

【読み】
わっずわーす
【英語】
F.Wadsworth
【辞典・辞典種類】
新編咬合学事典
【詳細】
アメリカの補綴学者。今世紀前半に活躍。Monson、Hallらと同時代の研究者。総義歯に造詣が深い。1919年、スロット型の顆路をもつワッズワース咬合器を開発。関節部の構造は、ボールベアリングが用いられていないだけで、のちに発表されるハノー咬合器とほとんど同じであった。そのため、この咬合器はコンダイラー型咬合器の原型のひとつに数えられている。顆路はMonson球面に一致させるためやや彎曲をもち、顆頭間距離の調節性を備えている。切歯指導板には側方切歯路傾斜度の調節機構がもうけられている。側方切歯路傾斜度の重要性は、のちにFischerの2重軸学説によって明確にされるが、Wadsworthはそれ以前にこれに注目している。この咬合器には、また、咬合彎曲中心板と呼ぶ装置が取りつけられ、義歯の咬合彎曲を決定するために、その形態的基準として、スピー中心、あるいはモンソン球面が利用できるようになっている。この方法は今日もなお、咬合彎曲決定の参考資料として使われている。
Wadsworthはこの他、T‐アタッチメントと呼ぶフェイスボウの付属器具を考案している。これは今日の前方基準点指示棒の先駆をなすもので、咬合器上に水平基準面を再現するのに役立つ。
1929年、システム化された総義歯の製作術式を発表。臨床家としても優れた業績を遺している。主論文には、Full denture technique、Dent Cosmos(1924)、A practical system of denture prosthesis including the restoration of anatomical articulation、Dent Cosmos(1925)などがある。