アクティブプレート
- 【読み】
- あくてぃぶぷれーと
- 【英語】
- active plate
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- 矯正装置自体が発揮する矯正力を利用して歯の移動を行う,いわゆる床矯正装置の総称である.現在のアクティブプレートの基礎は,1881年に発表されたコフィンの拡大床によって形づけられた.しかし,その後一時アングル(Angle, E.H.)の固定式矯正装置が支配的なものになり,ホーレーの保定床のみが現在まで多用される以外は頻用される機会は少なくなった.1929年ノード(Nord, C.F.L.)の発表した多数歯をひとまとめにして移動するスクリュースプリットプレート(screw Split plate)の発表以来,アクティブプレートが一部で再燃する引き金となり,1936年のティシュラー(Tischler, M.)の多くの洗練されたアクティブプレートの発表と,シュワルツ(Schwarz, A.M.)の床矯正装置に関する教科書の出版により発達を遂げ,現在でもなお臨床で応用される結果となった.
【基本構造】
1.床(base plate)
1)目的
(1)装置の基礎をなし作動部の保持を行う.
(2)固定源として働く.
(3)作動部として働く:拡大ネジまたはコフィンの断線との併用.
2.クラスプ(clasp)
1)目的:床の固定
2)種類
(1)シュワルツのアロークラスプ(arrow clasp),(2)三角クラスプ(triangular clasp),(3)ボールクラスプ(ball clasp),(4)アローピンクラスプ(arrow pin clasp),(5)単式アイレットクラスプ(simple eyelet clasp),(6)複式アイレットクラスプ(double eyelet clasp),(7)連続アイレットクラスプ(continuous eyelet clasp),(8)アダムスのクラスプ(Adams clasp),(9)デュウジングスのクラスプ(Duyzings clasp),(10)サーカムフレンシャルクラスプ(circumferential clasp),(11)Cクラスプ(C Clasp),(12)その他
3.作動部(active element)
1)目的:移動歯に矯正力を供給する.
2)種類
(1)唇側線:唇側線は床装置全体を定位置に保持するとともに1歯1歯を保定するという受動的な作用と,歯を移動させる力を発揮する作動部としての能動的機能の2つの働きを有する.唇側線は使用目的に応じて0.6~0.9mm線の金属線を使い分けるが,前者は太いワイヤーを用い,後者は細い弾力性の線を必要に応じて屈曲を与え使用する.
(2)スプリング:歯の移動に用いられるスプリングは,スプリングの両端を固定する連続スプリング(closed or continuous spring)とスプリングの一端のみを固定する単式および複式スプリング(free-end spring)とがある.スプリングは0.5~1.2mm線を使用目的に応じて使い分けループを作ることで歯の移動をつかさどる.
(3)拡大ネジ:アクティブプレートの床の部分に埋め込むことにより,1歯1歯の移動から歯列弓の拡大まで多種多用に用いられる.
(4)ゴム:可撤式装置と併用するゴムは,1歯または数歯の移動を行う動力として,また顎間固定の動力として用いられる.