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圧下

【読み】
あっか
【英語】
depression, intrusion
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 圧下とは歯の根尖方向への移動をいうが,咬合力が加わる方向への移動であるため移動様式の中では最も困難といわれる.圧下には直接的圧下(direct depression)と間接的圧下(indirect depression)がある.直接的圧下は直接歯軸の方向に矯正力を作用させるものであるため,この達成には咬合圧を受けとめる組織構造(歯根膜線維)の抵抗を上回る強い矯正力を必要とし,根尖部付近に矯正力が集中することによって歯根吸収などの不快事項を招きやすいといわれる.間接的圧下は複数の方向より加えられる矯正力(装置,エラスティック,筋の機能力など)の相乗作用によって最終的に圧下を達成するものである.たとえばベッグ法で行われているメインアーチワイヤーに付与されたバイトオープニングベンドと顎間II級ゴムの組み合わせはワイヤーによる圧下力に顎間II級ゴムの発生する矯正力,さらに口腔周囲筋の機能力が付加されて効率的な間接的圧下を実現するものである.間接的圧下は直接的圧下と異なり比較的弱い矯正力どおしが組合わされるものであるため,歯に対する為害作用は少ない.圧下に関しては,最近では形状記憶合金(Ni‐Ti)応用のcurve of Spee(上顎),reverse cueve of Spee(下顎)のワイヤー(.016"×.016",.018"×.018",.020"×.020")が市販されており,これによって容易に確実に圧下が行われるようになった.
→ウルトラライトフォース