MEAW
- 【読み】
- えむいーえーだぶりゅー
- 【英語】
- multiloop edgewize arch wire
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- (同)ミューテクニック
キム(Kim, Y.H.)によって考案された.016"×.022"サイズのワイヤーを用い,側切歯遠心部より後方のすべての歯の接触部にホリゾンタルループを屈曲したアーチワイヤーである.このアーチワイヤーを用いた治療方法をミューテクニックとよぶ.MEAWには連続的にティップバックベンドが付与され,小臼歯から大臼歯にかけての歯を一斉に整直し,咬合高径を積極的にコントロールすることが可能である.MEAWは多数のループを屈曲するため屈曲操作の難易度が高く繁雑となるが,歯に弱い矯正力を持続的に与えることが可能となり歯を独立して移動できる.しかもすべての歯が同時に移動するので治療期間が短縮できるなどの利点がある.MEAWの治療効果は以下の通りである.
1)臼歯部の整直,咬頭干渉の除去,咬合平面の変化などに伴って顎外力などの整形力を用いずに下顎位が自然に生理的な位置に誘導される.
2)MEAWに組み込まれたホリゾンタルループによって,歯に弱い持続的な矯正力が作用し歯が整直される.
3)MEAWと垂直ゴムは歯を整直させると同時に歯ごとに咬頭嵌合に向かうように作用し,安定したセントリックストップが確立される.
4)歯の整直,圧下,挺出などの組み合わせにより機能的な咬合平面を調節することができる.
5).016"×.022"ワイヤーに組み込まれたトルクの効果がホリゾンタルループの作用で持続的に発揮される.
6)すべての歯の移動が一斉に,かつ持続的に進行するので短期間で治療目標が達成される.
しかし,ループが多すぎ屈曲が複雑で口腔内が不潔となりやすい.輪ゴムの力により矯正するのでゴムをかけない患者は要注意で,重篤なトラブルを生じやすいので注意が必要である.