開咬
- 【読み】
- かいこう
- 【英語】
- open bite
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- 上下顎歯列弓垂直関係の不正で,上顎あるいは下顎もしくはその双方の歯が数歯にわたって低位で咬合線に達しない場合をいう.一般的には,中心咬合位で臼歯部が咬合を営むにもかかわらず前歯部が咬合しない場合をさしているが,まれに局所的に臼歯部に現れることもある.この開咬には,高度の下顎近心咬合,小顎症,顎関節部の骨性異常などの顎の形態異常による骨格性開咬と,単に歯の萌出障害や形態不全または咬舌癖,挿舌癖,舌突出癖,異常嚥下癖,拇指吸引癖などの機能性による歯槽性開咬がある.形態的には上顎前突型のものと下顎前突型のもの,上下顎の位置関係にずれのないものがあり,アングルの分類はI級,II級,III級のすべてがある,またほかの不正咬合と合わさって成立していることが多い.
【口腔内所見】骨格性では後方歯のみ咬合し,上下顎咬合平面は直線的に離開する.また,舌や拇指による習癖によるものでは,挿入部のみが円弧状に開咬する.
【頭部X線規格側貌写真所見】下顎下縁平面角の開大,下顎角の開大,下顔面高の過大(前後顔面高比の減少),下顎枝長の短小,オトガイ部の後退,上顎前歯の唇側傾斜,逆スピーの彎曲の状態などが認められる.
【治療方法】小臼歯または大臼歯の必要抜歯を行い,Ni-Ti wireの使用を主としたマルチブラケット装置によりバーティカルディメンジョンの改善をはかる.また機能的原因によるものは,舌および口唇のトレーニングや舌癖防止装置を使用して不良習癖の除去を行い,付加的にオトガイ帽装置が併用される.さらに骨格性の不正が大きい場合には,外科的治療が行われる場合もある.
→不正咬合,上下歯列弓関係の不正