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外傷性咬合

【読み】
がいしょうせいこうごう
【英語】
traumatic occlusion
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 歯周組織に外傷性の損傷を引き起こす咬合をいう.これに対し咬合性外傷は外傷性咬合によって生じた状態を表現している.外傷性咬合となりうる因子には,早期接触,ブラキシズム,口腔習癖,歯列不正,食片圧入などがある.また矯正臨床において,下顎前突の治療の際,被蓋改善することにより,一定期間切端咬合位になることがある.これらの要因が加わった場合,歯周炎などにより歯周組織の支持力が低下していると,通常の生理的咬合力でさえも咬合性外傷を引き起こすようになる.外傷性咬合は,歯肉には影響を与えず,歯根膜と歯槽骨に変性・壊死・吸収などの病変を引き起こす.プラークによる歯肉の炎症性病変は外傷の生じた歯根膜や骨へと急速に進行する.一方,歯肉が健康な場合や,炎症があっても軽度で,骨や歯槽骨と歯肉の炎症部の間に歯肉線維が十分残存している場合は,外傷性咬合が加わっても,炎症が歯根膜や歯槽骨と合併することはなく,上皮の根尖側移動を伴う骨縁下ポケットの形成は起こらず,高度の歯周炎は生じない.しかし,歯槽骨の吸収・歯の移動・歯の動揺の増加など歯周組織の深部支持組織に影響を与えるほか,咀嚼筋や顎関節に障害を生ずる,いわゆる顎関節症の発症因子となる場合があるという.