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下顎骨

【読み】
かがくこつ
【英語】
mandible
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 下顎骨は顔面頭蓋骨のなかで最も強大な単一骨で,他の顔面骨と異なり左右の顎関節で頭蓋両側の側頭骨と可動的に結合している.馬蹄形をした骨板の下顎体とその後端から後上方に立ち上がる左右の下顎枝によって構成される.胎生期,一対の骨として生じ,出生時には線維結合によって正中部が結合するが,生後約1年で骨化癒合して単一の骨となる.
下顎体は厚く,下縁は丸みを帯び,上縁には歯槽突起(歯槽部)を,また,歯槽部後端には三角形の骨面である臼後三角を有する.下顎体ほ正中線上のオトガイから後方に伸び下顎枝の前縁に達している.下顎体の前面の正中線上およびその付近に三角形の隆起,すなわちオトガイ隆起があり,その下外側の下顎底にある左右オトガイ結節とでつくるオトガイ三角は全体として大きく膨隆し,現生人類に特有のオトガイとして前突する.オトガイ神経および動・静脈が通るオトガイ孔は下顎体の外面で第一小臼歯および第二小臼歯の歯根の間(ときには第二小臼歯の下方)に存在する.オトガイ孔は垂直方向の位置的関係では下顎骨下縁と歯槽縁との中央に存在する.内面には正中部下端に二対のオトガイ棘,二腹筋窩がある.オトガイ棘とその横の凹みは上部の一対はオトガイ舌筋,下部の一対はオトガイ舌骨筋の起始部である. 下顎枝は下顎体の後端から後上方に伸びた薄い四辺形の骨板である.上端は下顎切痕により筋突起と関節突起とに分けられる.関節突起の上端には下顎頭があり,下顎頭の下は細くくびれて下顎頸となるが,その前内側には外側翼突筋が停止する翼突筋窩などがある.また下顎枝内面ではほぼその中央部に下顎管の広い開口部である下顎孔が存在する.内面の下顎角付近には内側翼突筋の停止する翼突筋粗面がある.
→下顎(骨)の成長