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下顎前歯の叢生

【読み】
かがくぜんしのそうせい
【英語】
crowding of lower incisors
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 下顎中切歯および側切歯が,唇側や舌側に互いちがいに入り乱れている状態をいう.これは歯と顎の大きさの不調和に起因する.混合歯列期における乳歯と永久歯の交換に伴ってまず最初に叢生が現れる部位であり,将来萌出する上顎あるいは下顎の側方歯群の幅径を予測したり,治療方針や予後を決定するうえでの1つの大きな目安になる.一方,この下顎前歯部の叢生は矯正治療後の後戻りとして現れることもある.これほ思春期性成長途上で咽頭腔の大きさが変化し口唇圧と舌圧のアンバランスにより生じる場合(これに対しては思春期成長が終了するまで下顎犬歯にbondable linguai retainerを装着しておくことによって防止できる)と歯牙素材の形態的特徴が原因の場合とがある.すなわち上顎切歯の発達した辺縁隆線や,下顎切歯の接触点と歯頸部付近との歯冠近遠心幅径の大きな相違が原因となることが多い.そのため,動的治療期間中に辺縁隆線や隣接面の形態修正を行うことがある.切歯の辺縁隆線をポイント類で削合したり,MDレデューサー(MD reducer)またはトゥースセパレーター(tooth separator)により隣接面のストリッピング(stripping)を行い,隣接面を平坦な面とし,矯正治療後の後戻りを防止するのである.