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下顎前突症の手術

【読み】
かがくぜんとつしょうのしゅじゅつ
【英語】
operation of mandibular pro-trusion
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 マルチブラケット装置による矯正治療の範囲を超えた下顎前突症には,顎矯正手術を伴う外科的矯正治療が適用される.手術の時期は,顎の成長発育がほぼ終了した時期(17~18歳)以後に行う.術式は多くの方法があり,下顎の過成長には下顎体切離による骨体短縮法と下顎枝切離による下顎後退法,上顎の劣成長にはルフォー(Le Fort)のI,II,III型の骨切り術による上顎骨の前方移動などが用いられ,上下顎同時移動術も行われる.さらに症例によっては,下顎前歯部の歯槽部の骨切術による部分的な後方移動術も用いられる.口内法と口外法があるが,現在では皮膚の損傷の少ない口内法が一般的である.下顎骨体の短縮法にほディングマン(Dingman)法,ピヒラー(Pichler)法などがあり,下顎骨体の著しい過成長や開咬を伴う症例に適用される.切断部の歯の抜歯が必要であることが欠点であるが,症例によっては骨の切断が抜歯空隙の閉鎖に応用できる利点ともなる.下顎枝の切断法はコステチカ(Kostecka)法などの水平切断法が用いられていたが,現在では多くの場合矢状分割法のオッぺゲーザ-ダルポン(Obwegeser-Dal Pont)法が行われている.
→顎変形症