専門情報検索 お試し版

下顎の偏位

【読み】
かがくのへんい
【英語】
deviation or displacement of mandible
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 機能的正常咬合では,顎を閉じた場合に上顎と下顎の歯が最初に接触した位置が中心咬合位と一致する.下顎の変位とは,顎を閉じた場合に上顎と下顎の歯が最初に中心咬合位から接触し,この位置から中心咬合位に向かって咬頭斜面を下顎が滑走することをいう.この下顎の変位が著しく前方へ向かうものが機能的下顎近心咬合,著しく後方へ向かうものが機能的下顎遠心咬合,著しく側方へ向かうものが機能的交叉咬合である.下顎の変位の様相にはデビエーション(deviation)とディスプレースメント(displacement)とがある.デビエーションとはスムーズな変位ともいわれ,下顎の習慣的位置において下顎が前方に位置し,かつ下顎頭が関節窩内で前方位をとっている状態から中心咬合位に移動する過程で,下顎は上方および後方に移動し,咬合したときに中心位となり下顎頭は関節窩内で正常な位置にある.デビエーションは痛みや歯面の亀裂,歯周組織の損傷を伴わないことからとくに治療を必要とせず,また矯正治療を行うことによって消失する.ディスプレースメントとはスムーズでない変位ともいわれ,早期接触が存在するために,それを避けて最大の咬頭嵌合を得ようとして起こるものである.痛みや歯の亀裂,歯周組織の損傷を伴うため,早期に咬合調整や矯正治療を行う必要がある.
→機能的不正咬合