過剰歯
- 【読み】
- かじょうし
- 【英語】
- supernumerary tooth
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- (同)過多歯
歯胚の過形成や分裂などによって正常な歯数より過剰に形成された歯で過多歯ともいわれる.萌出部位によって,歯列弓内にあるもの,歯列弓外にあるものや顎骨内に埋伏しているものが区別される.また,その形態によって正常歯の形態を示すもの(正常型)と,正常歯の形態を示すもの(異常型)に分けられる.前歯部では上顎中切歯間の口蓋側に正中歯として,大臼歯部では上顎第二または第三大臼歯の近心頬側または近心口蓋側の臼旁歯,あるいは上下顎第三大臼歯の遠心部の第四大臼歯として発現する.過剰歯の発現は乳歯ではまれである.正常型は小臼歯部にみられることが多く,異常型は一般に歯冠の退縮傾向によって円錐状,柱状または蕾状を呈し,上顎前歯部や大臼歯部に多い.
【原因】遺伝,系統発生学的要因,鎖骨頭蓋異骨症,口蓋裂,外傷,歯胚の分裂などが考えられている.
【治療】歯列不正による咬合異常をきたしたり,食渣の停滞に伴って齲蝕や歯周疾患に罹患しやすくなるため,審美的ならびに機能的改善が必要となる.過剰歯はそれらが存在する局所の歯の配列に大きく関係する.とくに,上顎前歯部に出現する頻度が高く,上顎前歯部の不正配列や正中離開の原因となる,これはX線診査によって早期に発見することができる.萌出過剰歯は,もちろん早期に抜去するが,深く埋伏した過剰歯を直ちに抜歯しなければならないということではない.観察を続けたうえで咬合の改善に直接障害となっていることを見とどけてからでも遅くはない.また,たとえ埋伏過剰歯があったとしても抜歯せずに矯正治療を試みることも必要である.