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含歯性嚢胞

【読み】
がんしせいのうほう
【英語】
dentigerous cyst
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 含歯性嚢胞は濾胞性歯嚢胞の一型で,歯胚のうちのエナメル組織の形成完了後にエナメル期に嚢胞化が起こって発生した嚢胞である.また,正常な永久歯に発生し,上顎が下顎のほぼ2倍,上顎前歯では前歯部の埋伏過剰歯と切歯,下顎では智歯と小臼歯に発生頻度が多い.
【種類】
1)中心性:埋伏歯の歯冠の大部分が嚢胞腔内にあるもの,発生率は最も多い.
2)側方性:嚢胞が歯冠の一側に偏して発生するもので下顎智歯に多い.
3)多房性:多数の小嚢胞が集合して多房性を示すものでエナメル上皮腫との鑑別が困難である.
【症状】初期は無症状,発生が歯胚の完成期にあたるので,発見時には大嚢胞に発育していることが多い,羊皮紙音や波動を触知し内容液は粘稠で透明な淡黄褐色である.X線写真では境界明瞭な類円形の単房性の透過像のなかに歯冠が存在し,歯根は骨中に認められる.含歯性嚢胞やそのほかの歯原性腫瘍が原因で顎角の変形や破折,あるいは外科的侵襲による歯の喪失や転位,捻転などを生ずることがある.