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口腔内写真

【読み】
こうくうないしゃしん
【英語】
intra oral photography
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 矯正治療において治療目標と治療方針の決定,治療術式の選択ならびに治療経過の予測と予後の推定などを含めた正確な診断を行う際に必要不可欠な写真の1つである.顔面写真と同様に形態的検査における重要な資料である.口腔内写真は接写(close-up photography)撮影が必要である.実際の撮影では口角鉤を使用し,口唇を排除して撮影する.歯列を咬合面から撮影する際は専用のミラーを口腔内に挿入し撮影する.
1)接写の方法
(1)像距離(レンズからフィルム面までの距離)を大きく,被写体距離(レンズから被写体までの距離)を小さくする方法:エクステンションチューブやベローズを装着する(光路延長法).
(2)レンズの焦点距離を短くする方法:マクロレンズやクローズアップレンズを使用して焦点距離を短くする(光学的接写).
以上の二方法があるが,前者では被写界深度が浅くなるので注意が必要である.その点,接写拡大用に作られたマクロレンズを使用するのが万全である.歯列全体の撮影は画界からみて0.4倍くらいがよい.
2)基本的撮影機材
35mm一眼レフカメラ,焦点距離100~200mmのマクロレンズおよびリングフラッシュ(リングフラッシュ内蔵型のレンズも市販されている).
3)撮影方向
(1)中心咬合位の正面,左右側面
(2)上顎および下顎咬合面
(3)切歯都側面
(4)必要に応じて,開口状態,顎運動時の写真
4)観察の要点
(1)上下歯列弓の正中線の関係
(2)前歯部の咬合状態(オーバージェット,オーバーバイト)
(3)臼歯部の咬合状態(近遠心的,頬舌側,垂直的)
(4)歯列弓の形態
(5)個々の歯の植立状態,形,大きさ
(6)乳歯の早期喪失,晩期残存
(7)硬組織疾患の有無,処置状態
(8)軟組織の付着状態,疾患の有無
(9)舌の大きさ
(10)口腔内の清掃状態