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咬合力(圧)

【読み】
こうごうりょく(あつ)
【英語】
occlusal force(biting pressure)
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 咀嚼筋群のうち閉口筋の働きにより,上下顎の歯あるいは人工歯咬合面に発現する力をいう.咬合力は単独歯咬合力,連結天然歯列咬合力,および無歯顎における咬合力に大別することができる.ボレリー(Borelli, 1681)が臼歯部にひもをかけてこれにいろいろのオモリを与えて下顎の持ち上げうる重さを測ったのが最初で今日までにバネ式,テコ式,油圧式,電気式などいろいろな方法で測定されている.咬合力は測定方法によって一定しないが,健全な歯および歯周組織を有する20歳代男性における上下顎同名歯による咬合力は,中切歯約15.5kg,犬歯約27kg,第一小臼歯約39kg,第一大臼歯約65kg,第二大臼歯約60kgと歯根表面積が最大である第一大臼歯に最も大きな咬合力の発現がみられるという.女子は男子に比べて10~30%小さい.乳歯と永久歯を比較すると,歯根の大きな永久歯の方が咬合力が強大で,咀嚼筋の強度も成人の方が大きいので永久歯の咬合力の方が大きい.また,乳歯の特異な現象として混合歯列期での咬合力は乳歯の脱落期にあたるので減少する.咬合力に影響する因子としては咬合状態,筋の作用力,顎関節および歯の支持組織による.