咬舌癖
- 【読み】
- こうぜつへき
- 【英語】
- tongue biting
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- 舌癖の1つで上下顎前歯間あるいは臼歯間に舌尖部を介在させ咬むものをいう.歯の交換期における前歯の脱落部や乳臼歯の早期喪失部に舌を介在させる行為がそのまま習慣化してしまうことが主な原因と考えられ,永久歯萌出期に至っても本習癖が残留する場合には前歯部の前傾,空隙歯列,開咬,また臼歯部において行われた場合には局所的な開咬やあるいは咬合の喪失に伴って顎の偏位を惹起することもある.
【治療】動機づけを重視し,保護者の協力を得て本人の自覚のもとに自然治癒に向かわせるのが賢明である.また,不正咬合の程度によりすでに自然治癒の期待できないものに対しては,十分な動機づけの後に矯正装置の適用を考慮する.小児の心理を無視し安易にパラタルクライブ,リンガルクライブなどの不良習癖除去(防止)装置による治療を開始しても,対症療法に終始することで根本的な解決が得られないばかりか装置の除去に伴う速やかな後戻りを繰り返す可能性が強い.したがって,不良習癖除去(防止)装置に対する過信は禁物で,その使用にあたっては慎重であることが望ましい.