骨代謝
- 【読み】
- こつたいしゃ
- 【英語】
- bone metabolism
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- 骨は破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成を常に繰り返す動的組織である(骨のリモデリング). 健常な成人では破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成量はほぼ等しく,骨吸収と骨形成の両過程間には共役関係(カップリング)がある.すなわちPTHや1,25(OH)2Dなどの骨吸収を促進する因子は,骨表面の骨芽細胞にまず作用し,これを介して破骨細胞により骨が吸収されるケースが多い.もちろん,カルシトニンや女性ホルモンのように直接破骨細胞に受容体を介して作用するものもある.骨吸収によりヒドロキシアパタイト結晶が融解されると,カルシウム,リン酸,水酸イオンが血液中に放出される.一方,破骨細胞から分泌される蛋白分解酵素の作用などにより骨基質蛋白も溶出されるが,この中には骨形成に関与するサイトカインも含まれている.これらサイトカインの作用などにより,骨吸収を終えた部位に新たに骨が形成される. このように骨芽細胞と破骨細胞は機能上,密接に結びついており,両者の連関により,すなわち,骨形成と骨吸収のバランスが保たれる結果,骨量およびカルシウム代謝平衡が維持されている.これに対し骨形成と骨吸収のバランスが崩れると(アンカップリング),骨量の増加,あるいは減少が生じる.前述した成長期の骨量の増加,壮年期以降の骨量の減少という生理的変化に加え,骨粗鬆症などの骨代謝疾患による骨量の低下が臨床的には特に問題となる.すなわち,骨吸収に比し十分な骨形成が行われない結果,骨量の減少を来し,骨強度が低下して骨折を起こしやすくなる.