コラーゲン
- 【読み】
- こらーげん
- 【英語】
- collagen
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- 体の中で最も大量に存在するタンパク質.このコラーゲンの主要な役割は,線維性成分としての力学的支持性であるが,コラーゲン分子の構造や発現様式は多様であり,細胞の増殖,分化にも積極的に関与していると考えられている.コラーゲンは,3本のポリペプチド鎖がグリシン残基を中心にして三重らせんを巻いた領域(コラーゲンヘリックス)を持つ分子である.分子は大まかな形により区別され,発見された順にローマ数字を付け,分類されている(現在はI-XIX).コラーゲン分子の3本のα鎖(ポリペプチド鎖)の構成は,3本が同種のホモトリマーの分子と種類の異なるヘテロトリマーの分子がある.3本鎖コラーゲン分子の中で,Glyは内側に,その他のアミノ残基は表面側に並ぶ形をとっている.現時点では19種類のコラーゲン分子が分類されており,α鎖の遺伝子は34種にもおよぶ.これらのコラーゲンは構造や機能は異なっているが,生合成は酷似している.膜結合型からmRNAから作られたプレプロコラーゲン・ポリペプチドα鎖はシグナルペプチドの助けを借りて粗面小胞体膜を通り抜け,小胞腔に入る.このコラーゲン前駆体であるプロコラーゲンα鎖は,水酸化後,水素結合によって3本鎖らせんを作り,プロコラーゲンとなる.細胞外に分泌されたプロコラーゲンは,いろいろなプロコラーゲン・ペプチダーゼによってC末およびN末が分解され,コラーゲンとなる.コラーゲン分子は細胞外で,lysyl oxidaseのはたらき によって,修飾リシン側鎖間の共有結合で会合・架橋し,その集合体はより大きいコラーゲン原線維を形成し,さらに原線維の会合がコラーゲン線維をつくっていく.コラーゲンファミリーは8つのサブファミリーに分けられている.
I,II,III型コラーゲンなどに代表される線維性コラーゲンである.I,III型は,口腔領域では歯肉,骨,歯牙などで最も多くみられるものであり,II型は軟骨で発現されている.IV型コラーゲンは基底膜の主成分である.ファシット(FACIT: fibril associated collagens with interrupted triple-helices)としては,コラーゲンIX型,XII型,VIII型,X型コラーゲンがある.特にX型コラーゲンは軟骨で発現が認められている.