残留応力
- 【読み】
- ざんりゅうおうりょく
- 【英語】
- residual stress
- 【辞典・辞典種類】
- 歯科矯正学事典
- 【詳細】
- 外力を加えないでも材料内部に生じている応力のことである.材料に弾性限度を越えた荷重を加えれば材料は塑性変形を起こし,荷重を除去した後に残留応力が生じる.また加熱された材料を急冷すれば表面が冷却された後,内部が冷却するために残留応力が生じる.通常,残留応力は材質の不均一性によるもので使用中亀裂,ゆがみ,あるいは強度の低下になるので注意が必要である.たとえば矯正用ワイヤーに複雑なループを屈曲した場合,あるいは舌側弧線装置の主線に補助弾線を鑞着した際に残留応力が生じる.またワイヤーに生ずる応力が弾性限以下であっても,同一部位で曲げ伸ばしを繰り返すとワイヤーは徐々に弱くなり,ついには疲れ限度に達し破折する.口腔内では矯正治療期間とも関係するが,歯槽骨の残留応力が問題となる.この歯槽骨の残留応力が原因となりアップライティングの後戻り,抜歯空隙の開大,舌側傾斜した下顎切歯の後戻りなどを生じることになる.したがって矯正装置は歯槽骨の残留応力を除去するため,動的治療終了時を3~4ヵ月延長しておくことが肝要である.