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歯根吸収の予防法

【読み】
しこんきゅうしゅうのよぼうほう
【英語】
prevention for root resorption
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 矯正治療による多少の歯根吸収は避けられないが,一般的には(1)加える力が過大であったとき(2)移動期間が長期間であったとき(3)移動距離が大きかったとき(4)力の方向が多方向への揺さぶり(ジグリング)であったとき(5)成人など歯や歯周組織の活性が低下したとき,などが挙げられる.したがって,矯正治療を開始する前には十分な精査を行い,歯の移動を開始する前により危険の少ない治療計画を選択すべきであり,過度な力を使わずに,休息期なしの長い距離,長期間にわたる移動は避けるべきである.また,矯正治療中においてX線写真繧ナ歯根吸収が疑われた場合,より広範な歯根吸収に移行することを避けるために吸収窩が小さいうちに第二次セメント質によって修復されるまでの間,歯の移動は中止すべきである.また,外傷の既往をもつ歯や,歯根の先細りや彎曲,短根歯,すでに歯根吸収のある歯などの移動を行う場合,舌突出癖,咬唇癖,吸指癖などの口唇習癖を伴う場合には,矯正歯科治療によって歯根吸収が生じる確率や程度は高くなるため,治療開始前に改善できることがあれば優先して対処することが必要である.また,根尖未完了歯の歯牙移動は完成歯の歯牙移動に比べて歯根吸収は少ない.