専門情報検索 お試し版

習癖にかかわる不正咬合の治療

【読み】
しゅうへきにかかわるふせいこうごうのちりょう
【英語】
malocclusal treatment with habit
【辞典・辞典種類】
歯科矯正学事典
【詳細】
 吸唇癖,咬唇癖,弄舌癖,舌前突癖,異常嚥下癖,吸指癖,咬爪癖,口呼吸などの不良習癖が原因で,上顎前突,下顎前突,開咬などの不正咬合が生じている場合,これらの不良習癖の除去を行う必要がある.乳歯咬合期および混合歯咬合期では,不良習癖の存在により将来骨格性の不正咬合に移行する恐れのある場合には早期に治療を開始する.また永久歯咬合期では,マルチブラケット装置などによる本格的矯正治療を始める前にこれらの習癖の除去が必要である.一般に不良習癖の除去法には,異常な筋の行動型を筋機能療法により矯正する方法と,器械的装置(固定式,可撤式)を用いて行う方法とがある.通常行われる筋機能療法には次のようなものがある.
1)口輪筋の訓練法:上顎切歯の唇側傾斜を示す症例は,口輪筋が弛緩している場合が多い.このような症例では,手指や訓練器を用いて口輪筋の訓練によって口輪筋の緊張をもたらし,咬合の安定をはかる.
2)翼突筋の訓練法:アングルII級1類の下顎遠心咬合の治療に効果がある.下顎をできるだけ近心に移動させ,切歯関係は反対咬合の状態のままで十数秒維持し,もとに戻す.この運動を反復することによって顎を正常な位置関係にさせようとする訓練法である.
3)側頭筋および咬筋の訓練法:アングルII級2類および開咬の治療に効果がある.アングルII級2類の症例では,咬合斜面板などを挿入して繰り返し強く咬合させる.また開咬症例では単に何度も強く噛み合わせることにより訓練する.
4)舌の訓練法:異常嚥下癖や舌突出癖が原因で上下顎切歯の前突や開咬が認められる症例では,嚥下時に上下歯列間に舌が突出しないように訓練を行う.器械的装置を用いて行うものには次のようなものがある.
1)固定式習癖防止装置:(1)吸唇癖,咬唇癖;リップバンパー,(2)弄舌癖,舌前突癖,異常嚥下癖;タングガード,タングクリブ
2)可撤式習癖防止装置:(1)吸唇癖,咬唇癖;可撤式リップバンパー,オーラルスクリーン,(2)弄舌癖,舌前突癖,異常嚥下癖;可撤式タングガードおよびタングクリブ,オーラルスクリーン,(3)吸指癖,咬爪癖;サムガード
そのほかに吸指癖や咬爪癖に対して,指に包帯を巻いたり,手袋をはめたり,薬物を塗布する方法などがある.また口呼吸患者には鼻呼吸の訓練を行い,病的または器質的な場合は耳鼻科医に相談する.
→不正咬合の治療